日月潭の湖畔には西遊記に出てくる三蔵法師の遺骨が祭られているお寺があります。ここを玄奘寺といいます。
三蔵法師は玄奘大師とも呼ばれており、お寺の名前はここから名付けられました。
玄奘寺に到着すると、大きな地図が目に入ります。
これは、玄奘大師が中国の長安(現在の西安)からインドに入り仏教を学んで長安に戻ってきた様子が記されています。
お寺の正門はこの大きな地図の上にあるので階段を登って行きます。
西遊記には三蔵法師の家来として孫悟空や猪八戒など動物をモチーフとした登場人物が出てくるため、作り話だと思われていますが、三蔵法師すなわち玄奘大師は実際に存在した人なのです。
玄奘大師の経歴は色々な説がありますが、玄奘寺の公式ホームページによると、西暦600年に生まれて、数えで5歳のときにお母さんを亡くし、10歳のときにお父さんを亡くしました。
そして13歳のときに今の河南省の洛陽にある浄土寺というお寺のお坊さんになりました。
28歳のときにインドに行き、仏教を学び数多くの経典を書き写して、西暦645年、玄奘大師が45歳の時に中国の都長安に帰ってきました。
持ち帰ってきた経典を翻訳して中国に仏教を広め、65歳で亡くなりました。玄奘大師が亡くなったとき、皇帝は「国の大切な人を失った」と嘆き、遺体を埋葬するときには百万人が見送りに来たとも言われています。
玄奘大師の遺骨は本殿の3階に祭られています。
これは日本から分骨されたものです。
玄奘大師は中国人なのになぜ遺骨が日本にあるのでしょうか。
日中戦争のとき、日本軍が南京で工事をしていると地面から遺骨が出てきました。
調べてみると玄奘大師の遺骨であることが分かり、分骨して埼玉県岩槻市にある慈恩寺に祭りました。
戦後、台湾の関係者が慈恩寺に相談し、1955年(昭和30年)に分骨されてこの玄奘寺で祭られることになりました。
本堂の左側には、日本と台湾の仏教親善の記念碑が日本語と中国語で書かれています。
1999年9月に日月潭で大きな地震が発生し、玄奘寺も被害を受けましたが、今はきれいに修復されています。
台湾中部の南投にお越しの際はぜひ遊びにおいでください。
アクセス:台中駅などからバスを利用
「日月潭バス停」で下車、日月潭遊湖バスに乗り換えて「玄奘寺バス停」下車。
執筆:徐啓祥(台湾人ガイド)