日本人墓地の後ろには、もう一つ大きな大理石の石碑があり、「霊安故郷」と太い文字で刻まれています。「御霊、故郷に安んず」という意味です。
第二次世界大戦中に台湾人も日本の兵隊になって、20万人くらいが戦場に送られ、そのうち生きて帰ってくることができなかった人が約3万人もいました。
これらの人々が日本の靖国神社で祀られています。
以前台湾の総統だった李登輝さんのお兄さんも、日本の兵隊として戦場に行き亡くなったので、靖国神社で祀られています。
李登輝総統は、当時政治的な問題で日本の靖国神社へ参拝に行くことができなかったので、台日海交会と南星会という団体の協力を受けて、宝覚寺に台湾人日本兵の慰霊碑を建てました。「霊安故郷」と書いてある左側をご覧ください。ここに李登輝敬題と大きい文字が刻まれています。
本堂の右手を奥の方に進んで行くと、金色の大仏が迎えてくれます。
日本にも奈良や鎌倉などに大仏がありますが、全身が金色に輝いているこの大仏はインパクト抜群です。
大きなおなかで、右手に袋を持ってニコニコ笑っている姿は、七福神の一人として知られている布袋様の姿そのものです。布袋様は弥勒菩薩の化身だったと言われ、この大仏も台湾では弥勒仏像と呼ばれています
本堂から弥勒仏像までの通り道には、白くて小さな弥勒様がリラックスした格好で横たわっています。
なでると金運や運勢がアップすると言われているので、大勢の人になでられてツルツルになっています。みなさんも遠慮しないでたくさんなでてください。
白い弥勒様の横には、石碑があって、「悩みをあっさりと捨てて笑顔で過ごすときっといいことがある」とここに来た人に呼び掛けています。
私はこの仏像を見ると、鎌倉時代に鴨長明が書いた『方丈記』を思い出します。
「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」で始まる文章です。どんなにつらいことがあっても世の中はどんどん変わっていきます。
一生を笑って過ごすのと泣いて過ごすのと、どちらが楽しいでしょうか?
布袋さんのように笑いながら過ごした方がきっと人生も楽しく過ごせますね。
執筆:徐啓祥(台湾人ガイド)