春節明けから中国の各銀行には,住宅ローンの繰り上げ返済を申請する顧客が押し寄せた模様。
銀行によっては,毎月の繰り上げ返済額の限度を設定したり,スマホの繰り上げ返済機能を無効にするところも出てきた。
繰り上げ返済の希望者が急増したのは,金融商品の収益が低すぎることが影響しているとの指摘がある。
中国で2018年頃にマンションを購入した場合,住宅ローンの金利は4%超であり,同じ時期の金融商品は同程度もしくはそれ以上の収益があった。
しかし,最近の金融商品収益率は2%程度で,ローン金利を大きく下回っている。「これなら繰り上げ返済したほうが得」というわけである。
銀行にとって,住宅ローンは優良貸付先であるが,中国では不況の影響によって新規に住宅ローンを組む人が激減。
中国人民銀行によると,2022年末の個人住宅ローン残高は,38.8兆元(約760兆円)。
もし,繰り上げ返済額が10%増えると,残高が約4兆元(約80兆円)減ることを意味し,銀行の収益に深刻な影響を与えることになる。