金. 9月 20th, 2024

内湾線とは、台湾鉄道の三大支線の一つで、新竹から内湾まで全長7.9kmのローカル線です。運行車両は、平渓線、集集線と同じ正面がオレンジ色の車両で、車内はロングシートで真ん中に半円形の仕切りがあるタイプです。

1947年に貨物運搬用に施設された鉄道で、当初は新竹から竹東まで開通、1951年9月に内湾まで延長されました。勾配のきつい山間部に分け入って行く鉄道ですので、開通当時はスイッチバックの駅(合興駅)があったそうです。

かつては、始発駅の新竹駅と終着駅の内湾駅とを往復運転しており、竹東で待ち合せ交差運転をしていました。高速鉄道(台湾新幹線)の新竹駅(高鉄新竹駅)が出来てから、高鉄新竹駅と内湾線(台湾鉄道)とを結ぶ連絡線として六家線(六家駅-竹中駅)が2011年に新設され、今は竹中駅と内湾駅とを往復運転するようになりました。台鉄新竹駅と高鉄新竹駅とを結ぶ連絡線として、台鉄新竹駅-竹中駅-六家駅は上下線とも頻繁に30分に1本運行されています。

社内掲示の路線図

内湾は客家の人々が多く住む所です。客家とは、そもそもは古代中国時代に中原に住んでいた人達が、戦乱を逃れて中原から南へと移動、定住を繰り返して、広東省・福建省・江西省などの山間部に定住するようになった民族集団です。独特の言語(客家語)、文化、風習を持った民族です。

客家人の台湾への渡来は、福佬人(中国福建省から渡来した人達、閩南語を話す人達)より遅かったので、生活環境の良くない、開墾条件の良くない山間部に近い丘陵地帯に入植することになりました。現在、客家人が集中して住む地域は、北部は桃園県、新竹県、苗栗県の内陸部、南部は高雄市、屏東県の内陸部です。そもそも客家人は、勤勉家で努力家で優秀な人達です。台湾における客家人には、苦労に耐え、困難を恐れず、環境の改善に取り組み、人々との良好な関係を築くという特性が培われました。出自や母語を基準にした台湾人の意識調査(2002年調査)では、閩南人73.3%、客家人12.0%、原住民1.7%、外省人13.0%で、客家人と意識する人は12%を占めています。

昔ながらの古い街並みのことを老街(ラオジエ)と言い、清朝または日本統治時代に造られた街のことを指します。この老街には、大きく言うと2タイプが有ります。三峽老街や大渓老街などの様に交通(水運)の要衝に出来た、財を成した富豪の洋風建築物が立ち並ぶ老街と、十分や九份の様な昔ながらの木造の商店街が立ち並ぶ老街の2タイプです。

三峽老街
十分老街

内湾老街は、昔ながらの木造の商店街が立ち並ぶ老街です。30分程で往復できる小さな街ながらもメインストリートには屋台や客家料理店が密集しています。かつて映画館だった場所を中心に「懐かしの街角」を醸し出しています。週末は観光客でごった返すそうですが、未だ観光地化しておらず、素朴な雰囲気が漂っています。

今回、客家の人々の生活や客家料理に触れたくて内湾老街を訪れましたが、客家語を聞き取ることも出来ず、客家の習俗や客家の文化を学び取る事は全然出来ませんでした。先ずは、客家料理を手始めに、客家の習俗・客家の文化を学びたいと思っています。

客家豆腐料理
炒板條料理

2023年6月

執筆:台湾研究会 台湾大好きおじさん