萬華龍山寺は、ガイドブックで必ず紹介されている台北で一番有名なお寺です。
国指定の古跡になっていて、台湾独特の文化や信仰に触れることができる場所です。
このお寺の歴史は古く、1738年に中国からの移民によって建てられました。日本は江戸時代で、徳川吉宗が将軍だった頃の話です。すでに280年以上の歴史があります。
言い伝えによると、ある人が観音菩薩のお守りをガジュマルの木にかけておいたところ、夜になってお守りが光りだしたため願い事をしてみると願いが叶ったそうです。そこで人々は観音菩薩に守っていただこうと思い、お寺を建立しました。
このお寺の正殿のご本尊の観音菩薩について説明します。
第二次世界大戦の時、空襲で多くのお寺が壊されてしまいましたが、龍山寺に避難して来た人は誰も被害に遭いませんでした。観音菩薩も傷一つつかなかったと言われています。このことから観音様はとても霊験あらたかであるとの話がどんどん広がり、今でも地元の人に厚く信仰されています。
龍山寺は1920年代に改築されました。すべて木彫りと石彫りで釘は1本も使われておりません。正門にあたる山門を入ると正面に見える建物は三川殿と呼ばれており、ここから奥は神様が祭られている神聖な場所になります。
屋根の上には有名な陶芸職人の手によって作られた龍や鳳凰、仙人など縁起物の飾りがたくさんあります。これらは台湾の伝統芸術の一つである交趾陶という方法で作られました。
また、三川殿の中央には龍が彫られている柱がありますが、これは台湾でただ1か所しかない銅で作られたものです。とても堂々としていて立体感があって今にも動き出しそうな見事な出来栄えです。
執筆:徐啓祥(台湾人ガイド)