記念堂は25ha(25万㎡)の広い敷地の中に建てられていて、全てがゆったりと大きく造られています。
本堂は70 mの高さがあって、屋根は北京の天壇をかたどっています。違うところは天壇の屋根は丸く、記念堂の屋根は八角形をしています。
八の数字は孫文が唱えた八徳という人が守るべき8つの「忠、孝、仁、愛、信、義、和、平」を表現しています。
屋根の上の丸い玉は、天を意味しています。その屋根を上から見下ろすと、人という漢字がたくさん書いているように見えます。人が重なって、天に達することを「天人合一」と言います。これは天と人の調和がとれているという中国の古くからの思想を表しています。
また、蒋介石の本名は「中正」で、正とは正方形を意味するため、本堂の土台は正方形になっています。
この建物には様々な意味が込められています。
例えば、屋根は二重になっていますが、これは中国語の複数の「複」と復興の「復」が同じ発音のため、大陸の領土を取り戻すという悲願達成の願いが込められています。
また、蒋介石の座像前の階段は全部で90段あります。これは蒋介石が亡くなった数え年の89歳に一つ足して、命が永遠に続くことを表しています。加えて、記念堂がピラミッドのような形をしているのも同じように命が永遠に続くことを意味しています。
※天壇は、北京市東城区に所在する史跡で、明朝から清朝にかけて皇帝が天に対して祭祀を行った祭壇です。1998年にユネスコ世界遺産に登録されています。
(③に続く)
執筆:徐啓祥(台湾人ガイド)