火. 11月 26th, 2024

「台北のシンボルは何でしょうか?」と質問すると、ほとんどの人が「台北101」と答えるほど有名になりました。

台北101は、新幹線とともに日本の技術を海外に輸出して成功した例と言えます。

高さ509メートルの台北101は、2004年に完成したときは世界一の高さのビルでした。今では世界中にもっと高いビルが増えていますが、今でも台湾で一番高いビルです。開業当時は世界で最も速かったエレベーターに乗って89階の展望台に行き、台北の街を上空からご覧いただけます。

展望台からの眺め

台湾では高度成長期に、高層ビルを競って建設しましたが、この101ビルは台北市政府が初めて民間と共同で推進した建築プロジェクトです。

日本の建設会社「熊谷組」が中心となって、台湾国内のいくつかの会社が協力して工事を進めました。地上101階、地下5階で、総建築費用は約600億台湾元(約2,400億円)です。

このビルは、主に企業のオフィスとして使用されていますが、地下1階から地上6階まではショッピングモールになっています。

外観は縁起の良いものがたくさんデザインされています。

27階から90階までは8階ごとに竹の節のように区切られています。これは、中国語で縁起がいい数字の「八」と商売繁盛という意味の「発財」の「発」の発音が似ていることから、お金が儲かるようにとの願いが込められています。

節の数も8個あります。節のひとつひとつは中国の宝物をたくさん入れた宝箱のような形をしていて鍵がついています。ビル全体を見ると1本の竹のようにも見えます。

竹も台湾人にとって縁起のいい植物で、節が多ければ多いほどどんどん出世していくという意味の「節々高昇」ということわざを表しています。8個の節が並んでいる下には大きな丸いマークがついています。これは昔のお金をイメージしたものです。このように縁起の良いものをたくさん取り込んでいます。

竹をかたどった外観

この高いビルを地震や台風による揺れから守るために、87階から92階に、重さ660トンのウインドダンバーという大きいボールのようなものを吊るしています。

振り子のように揺れてビルの振動を吸収しています。このウインドダンバーが見学できるのは、世界中でこの台北101ビルだけです。すぐ近くで見ることができるので、ぜひこのダンバーの迫力を感じ取ってください。

ウインドダンバー

ビルの89階には室内展望台があります。天気がいい日は91階にある屋外の展望台も開放しています。

5階から89階の展望台へ行くには、日本の東芝が造った2台の高速エレベーターに乗ります。分速1,010メートル、時速にすると61kmで上昇して、わずか37秒で展望台に到着します。

2004年にオープンした当時、世界で最も速いエレベーターとしてギネスの世界記録に認定されました。世界で最初の気圧制御システムを導入しているので、耳がキーンとなることはあまりないと思います。

東芝の高速エレベーター

私が以前ご案内した観光客のお客様が、バスから降りて台北101ビルを真下から見上げようとしたときに、腰を反りすぎてぎっくり腰になってしまい、そのまま病院に運ばれました。

皆さん、101ビルを見上げるときは注意してください。

執筆:台湾人ガイド 徐啓祥