中国国家発展改革委員会は,7月12日,「第14次5か年計画での新型都市化実施案」として,戸籍制度を緩和し,原則的に農村出身者も都市部で戸籍を作れるようにすると発表した。
1950年代以降,70年続けた都市住民と農民とを区別する戸籍制度を自由化し,農村人口の都市部移住を促進する。
発表によると,常住人口300万人以下の都市では,全面的に戸籍制度を撤廃。300万人から500万人までの都市でも戸籍制度を緩和。500万人以上の大都市では,社会保険納付額や居住年数に応じたポイント制で農民に都市戸籍を認めるとしている。
都市と農村で厳格に区別された中国の戸籍制度をめぐっては,発展途上段階においては,「食料供給源の確保」,「大量の人口が大都市に流れ込みスラム化することの抑制」などの利点があったとされる。他方,都市戸籍保有者は,様々な社会保障制度によって手厚い保護を受ける一方,農民は社会保障制度の対象から除外されるなどの問題があった。
長年,議論されてきた戸籍制度問題について,中国政府が今回,急に発表した背景には,中国経済が長期的に下降する情勢の中で,農村人口の都市部移住を促進し,景気浮揚を狙っているとの指摘もある。