金. 9月 20th, 2024

今回は台湾で一番大きな湖、日月潭へご案内いたします。

日月潭は景色が綺麗な観光地として有名なところです。

ここにはサオ族という原住民が住んでいておもしろい伝説が伝わっているほか、日本統治時代には大きな水力発電所を造り、台湾の電力の半分以上を供給していました。

景色を見るだけでなく歴史も知っていると、日月潭の観光がより楽しくなるので、まずは日月潭の歴史を説明させていただきます。

日月潭のほとりに住んでいるサオ族は、今から150年くらい前は阿里山の麓にある嘉義という町に住んでいました。

ある日狩りをしているとき、白い鹿を見つけました。白い鹿はとても珍しいので追いかけて多くの山を越えていくと、目の前に綺麗な湖が見えました。この湖が日月潭です。

ここには魚がたくさんいて食べるものには困りません。神様が白い鹿に変身してここまで連れてきてくれたと感謝して、サオ族全員がここに引っ越してきました。サオ族はその後、木で簡単なカヌーを作って魚を採り、畑で粟を栽培して暮らしました。

夕刻の日月潭

日月潭は、大昔に地面が地殻変動で陥没した部分に水が溜まってできた湖です。

湖の底には厚さ5メートルにもなる泥が溜まっています。

日月潭は台湾でただ一つの、海がない県、南投県というところにあります。

湖の表面は海抜748メートルの高さにあり、湖の深さは30メートルあります。

もともとは二つの湖に分かれていて、北東が太陽の形、南西が三日月の形をしていたので、日月潭と呼ばれるようになりました。

日本統治時代には、「阿里山の日の出、日月潭の夕日」と言われるほど夕焼けがきれいで、新婚旅行の聖地として有名になりました。

日月潭の夕日

日本統治時代には、日本政府は台湾を東南アジアへ進出する拠点にするために工業を発展させる必要がありました。そのためには電気がたくさん必要になります。

そこで、この日月潭に水力発電所を造ることになりました。

第7代総督の明石元二郎が中心となって、1919年に台湾電力株式会社を設立して最大10万kwも発電できる水力発電所をつくりました。

中央山脈を流れる濁水渓という台湾で一番長い川をせき止めて、320メートルの高さを利用して水が落ちる力で発電するもので、台湾全土の電気の半分以上を供給できるという、当時アジアで最も大きい水力発電所が完成しました。

建設当時の水力発電所

そのため、日月潭は景色がきれいな場所というだけではなく、台湾の工業の発展に大きな影響を与えた大切な場所にもなりました。

アクセス:台中駅からバスを利用

料金
台中干城站→日月潭站(A線・B線) 片道:NT$195
往復:NT$360
約1時間45分
高鉄台中駅→日月潭站(A線・B線) 片道:NT$195 約1時間20分

執筆:徐啓祥(台湾人ガイド)

②に続く