木. 10月 9th, 2025

2025年5回目のインタビューは、2025年台湾在日福岡留学生会役員を務める谷さんに学業や日本での生活についてお話をお伺いしました。

本日は、よろしくお願いいたします。はじめにお名前と学校で専攻している分野について教えてください。

私は、九州大学システム生命学府生命医科学専攻一貫性博士3年次の谷代元と申します。一貫性博士課程とは、修士課程と博士課程を統合したもので、大学院入学から博士号取得までの5年間、連続して在学する制度です。

大学ではどのような研究を行っていますか。

私は、細胞内にある細胞膜輸送たんぱく質の構造を解析し、神経疾患やがんの薬物開発につながる研究を行っています。細胞膜輸送たんぱく質は、細胞内の金属イオン(亜鉛、カルシウム)などの輸送に関与しており、細胞のホメオスタシス(恒常性)の維持に重要な役割を果たします。金属イオンの濃度異常は、神経疾患やがんの進行に関係します。たんぱく質の立体構造を明らかにすることで、神経疾患で溜まる異常たんぱく質やがんで暴走するたんぱく質を狙った精密な薬剤を開発することが可能になります。

病気の原因を分子レベルで研究されているのですね。谷さんはなぜ九州大学を選んだのですか。

元々、2023年に東北大学大学院生命科学研究科に入学し、稲葉謙次研究室に在籍していました。昨年、稲葉教授が九州大学に異動することが決まり、研究室ごと九州大学に移ることになったため、私は九州大学に3年次編入しました。

教授の異動には、研究室メンバーもついてくるのですね。では、東北大学を選んだ理由は何ですか。

はい、研究室のスタッフや留学生はついて行きます。東北大学を選んだ理由は、当時、東北大学はアカデミックランキングも上位で、留学費用も手頃であったため、留学先候補に考えていました。私は、台湾の大学で生物化学を専攻しており、たんぱく質の合成や活性測定などを学んでいました。当時、有機化学関係の研究室がある日本の大学院を探しており、東北大学及び大阪大学に申し込みました。その結果、希望していた稲葉研究室にご縁をいただき、配属されることになりました。

希望していた研究室には入れて良かったですね。谷さんは、福岡に住まれて1年ほど経ちますが、台湾在日福岡留学生会に入ったきっかけを教えてください。

私は、九州地域の台湾人と知り合いたかったため、2024年10月に留学生会に入りました。現在は、会計を担当しています。私が役員になった経緯は、留学生会が人手不足の状態であり、李劉会長に「私に手伝えることはありますか。」と尋ね、会計を担当することになりました。東北大学にも留学生会はありましたが、福岡留学生会に比べて会員数は少なく、イベントもありませんでした。福岡留学生会では、地域の祭りに参加したり、ホテルで歓迎会が行われたりと色々な経験ができるため楽しいです!

谷さんは積極的ですね。福岡での生活はいかがですか。

福岡は、野菜や果物が安いため気に入っています。また、福岡の人は情が厚いなと感じました。そう感じたのは、行きつけの定食屋の店主が私の顔を覚えてくれて、よくかしわおにぎり(鶏肉入りのおにぎり)などをサービスしてくれます。これまで、日本人は人との距離が遠いイメージがありましたが、店主の対応で印象が変わりました。

良かったです。逆に、福岡の生活で不便なところや改善してほしいところはありますか。

福岡の定食屋は揚げ物の比率が多くないですか?(笑)学食も揚げ物が多くて、他にもレパートリーがあれば良いなと思っています。あと、現在、福岡市東区に住んでいるのですが、コンビニやスーパーの前に若者が集団で固まって喫煙や大声で話しているのをよく見かけます。台湾では見かけない光景だったため、最初は圧倒されました。

店前に集団で居座られると利用しづらいですよね。

#13―②に続く