2025年7回目のインタビューは、在日台湾人留学生朱さんに学業や日本での生活についてお話をお伺いしました。本日は、よろしくお願いいたします。はじめにお名前と学校で専攻している分野について教えてください。
私は、立命館アジア太平洋大学経営学部組織管理専攻4年次の朱冠逸と申します。
大学ではどのようなことを学んでいますか。
企業の構成や立ち上げるための知識を学んでいます。その中で私は、日本企業の稟議制度(意思決定プロセス)を中心とした組織意思決定の研究を行っています。
日本企業と台湾企業で意思決定のプロセスは違うのでしょうか。
日本の企業は、一般的にボトムアップ型の稟議制度を採用しています。これは、現場の担当者が企画や提案を立て、上司に提出し、課長や部長等の承認を得て、決裁される仕組みです。一方、台湾の企業は、トップダウン型が多く、これは経営者や上層部が方針を出し、現場が上の指示に従って動く流れになります。
そうなんですね。朱さんが日本企業の稟議制度に興味を持った理由について教えてください。
ボトムアップ型の日本企業では、「ほうれんそう」が活発に行われ、関係部署とのやりとりを行い、合意の下、企業の方針が決められます。私は、トップダウン型と違って革新的なアイディアが採用されやすいボトムアップ型が好きで、日本企業における複数人がかかわる合意形成の文化を学びたいと思いました。
日本に留学するにあたり、立命館アジア太平洋大学を選んだ理由をお聞かせください。
私は、日本ビジネスに興味があって、実際に日本に行って、現地の空気を感じながら学びたいと思い、日本への留学を決めました。台湾では、インターナショナルスクールに通っており、留学するまで日本語を話せませんでした。そこで英語での授業がある立命館アジア太平洋大学を選びました。
朱さんがビジネスに興味を持ったきっかけはありますか。
父が、自動車部品を取り扱う会社を経営しており、父に憧れて起業家を目指すようになりました。とりあえず日本で色々挑戦しようと思い、来日しました。
実際に日本に来て、何か挑戦されましたか。
はい!私は今年、大学の生協食堂へのメニュー提供や、大分県内の祭りでの出店に挑戦しました。今年初め、個人的に生協食堂に依頼し、私が考案した魯肉飯(ルーローハン)のレシピを提供し、3月から2か月間販売させてもらいました。また、7月には、大分県の2つの地域祭りで、日本人の友人らと一緒にかき氷の店を出しました。祭りの出店には、食品衛生責任者の資格が必要ということを知り、1週間で資格を取得して、無事店を出すことができました。

すごい行動力ですね。
祭りでの出店を通して、日本で飲食店を開きたいと思うようになりました。特に、チェーン店に興味があり、将来は、日本と台湾を融合した商品を提供したいと思っております。現時点で、既に企画書はほぼ完成しており、今は良い立地を探しています。
既に企画書は作成されているのですか!?
はい。私の学部には、既に起業している学生が10人ほどいます。私も、良い土地が見つかり次第、すぐに起業したいと思っています。
卒業前から企業に向けて動いているのですね。
はい、プライベートでは、日本の全国チェーンの飲食店の立地状況のデータを収集し、分析したりしています。そのため、旅行先では、観光地より全国チェーンの飲食店を巡ることが多いです(笑)
#15ー②につづく